パステル画のこと



退職後、同好会に入りパステル画をやっています。

なぜパステル画か?

●油絵は、乾くのに時間が掛かるし、何より筆とパレットの後始末が厄介です。
●透明水彩は薄い色から描き始めなければならず、間違って濃くしすぎるとやり直しが効きません。

その点、パステルなら濃い色であろうと薄かろうと好きな色から塗れるし、正確に色を選ばなくても適当にとりあえず置いてみて、だめならその上から塗ればいくらでも修正が効くという、適当な性格の私には理想的な画材です。

パステルの技法

最初はパステルの使い方を全く知らずに、色鉛筆を使うように描いていましたが、時間が掛かるし目地の白い塗り残しが気になりうまく行きませんでした。
パステル画の本を読んでみると、用紙は白でないほうが良いとか、サイドストロークという塗り方とか、指ですり込むと紙になじむとか、ドガはフィキサチフで固めて上から塗っていった、という風な知恵が付き、次第に速く描けるようになって来ました。


パステルの欠点

@手が汚れます
ソフトパステルはチョークのように粉っぽいものですから、手は汚れます。
そのためぼろぎれで絶えず指を拭かないといけません。
余分な粉を落すために息を吹きかけると、たちまち粉は周囲を粉塵汚染に巻き込んで、隣でスケッチしている清潔な透明水彩愛好家のひんしゅくを買うことになります。


A保存しにくい
完成した絵はそのままでは粉が定着しない為フィキサチフを吹き付けて定着しますが、これが実に不完全な解決方法であることがわかります。
説明書には40センチほど離してスプレーせよと書いてありますが、これでは全く効果がありません。
あせって20センチの距離から気前よく噴射すると、定着効果は抜群ですが、肝心の絵の方はそれは無残な姿に変身してしまいます。特に黒い色の上に、軽く乗せた白のハイライトなどはどこへ行ってしまったのかと思うくらいに退色します。

結局は、30センチぐらいの距離から数回、軽く吹き付ける。保管の際に気をつけるようにするという事で妥協するしかない様です。
何か良い方法があれば教えてください。



それでもパステル

パステルには保存しにくいという致命的な欠点がありますが、余りある魅力があります。
@独特の強い輝度の色が出せます
A色を混ぜなくても良いので速く描けます
B色を紙の上で混ぜることも出来るし、混ぜないですぐ隣に全く違う色を対比させて置くことも出来ます。
Cさまざまな画法があるようなので、個性を発揮させる余地があるように思います。

私はまだどんな画法が良いのか判らず、手探りで試行している段階です。


使っているパステル

レンブラントのソフトパステル風景画用セットの45色をもとに、ホルベインも含めてばら売りを加え、90色くらいになっています。
色数は多いに越したことはないのでしょうが、ぴったりの色が無いため、多少派手な色でも思い切って使うことになり返って思わぬ効果が得られることもあります。


保存法について

保存するのにフィキサチフを使うと退色が起こる難点についてその後わかったことです。

フィキサチフを全く使わない描き方があります。
この方法は最初からできるだけ目の細かい紙によく定着するように強く描き、指などでなじませます。
濃い色の上に白い色を載せなくて良いように計画する必要があります。
完成した作品は汚れを防ぐために一枚ずつ硫酸紙を被せて保存します。

また、アメリカのHPには
@フィキサチフは最終の30分〜1時間では使うな
A最初は硬いパステルで始めて、柔らかいパステルは最終段階まで取っておく
と書いてあり、
フィキサチフの代わりに油成分(コンディショナー)の含まれていないヘアースプレイでも良い
などというショッキングな記事もありましたので、早速私も「スーパーハード」タイプのヘアースプレイ
で実験してみました。
結果は至極上々です。もちろん退色は起こりますので40センチくらい離して使用しますが、効果は抜群です。高価なパステル用を退色覚悟で使うのなら、これでも充分代用できると思いました。

戻る